ラミィさん

こんにちは、寒いの寒いの飛んで行け〜♫と毎朝が辛い日々が続きます。北陸地方は薄っすら雪景色です。

img_2032こうして毎日憂うつな冬を過ごしている間も木々は光合成と呼吸を繰り返しています。私たちは日常の心配事や日課をこなしています。

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今日は架空の症例ラミィさんについて書こうと思います。ラミィさんは、実在するクライエントさんではありません。

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ご気分のすぐれない方は臨床のお話になりますのでここから先はご遠慮下さい。

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ラミィさんは個室サウナに勤務する20歳代の女性です。幼少時から色々な複雑な生い立ちがあったそうですが、貧しい少女時代を過ごした彼女はお母さんに家を建てることを夢見てそのお仕事に就いたそうです。ラミィさんはあどけない少女というより冒険好きの少年のような屈託のない笑顔が素敵な表現力の豊かな女性でした。いつもラミィさんとのカウンセリングは他の人の話ばかりです。(ラミィさんのお話が聴きたいんだけどなぁ)と思いながらカウンセリングをしていました。ラミィさんはカウンセリングの始めの頃は穏やかに笑っていましたが、回数を重ねたある日、しばらく沈黙した後、哀しそうに泣き崩れて「私には自分がないんです。私は無いんです。あの仕事をしている時、体も心も自分のものでは無くなっちゃう。口は機能としてあるんだけどそれはリップサービスかオーラルセックスの時だけなんです!相手を悦ばせる口。仕事中は相手の反応に合わせているなので身体の痛みや不快感は全く感じません。仕事でもプライベートでも生きている実感が無いんです。空っぽなんです。私は自分をどこまでも無限に飛ばすことができます。お客さんの目付きから望んでること、言葉遣いや仕草からお客さんがして欲しいことが痛い位に私に入ってきて…お客さんといる時「本当の私」はどこかにいなくなってお客さんの欲しいものだけ全部与えられるように気持ちもセックスも声のトーンもお客さんの求めるままを与える私に自然と変わるんです…。「本当の私」はそこにいないから…「本当の私」はこのまま存在が消えちやうのかなって思うと…すごい怖い」《お母さんにお家を買う夢のことは?》「私…分かってるんです。お母さんがそんな仕事して買った家なんて欲しがる筈ないってこと…。(泣きながら強い声で)私がそんな仕事して買った家になんかお母さんはホームレスになったって住む訳がないでしょ。私がお母さんが喜ぶって勝手に思って、家を買うお金を貯めてるだけ。喜んでくれるっていう私の妄想。誰かが喜んでくれるためだけに私は存在するんですよ。喜んでくれる相手がいて初めて私という存在が生まれます。カウンセラーの私はとても驚きました。いつもの冗談ばかりのラミィさんの表情ではなかった。私達はしばらく黙ってしまいました。

アラジンに出てくるランプの精のジーニーみたい!

言葉にしなくても分かるなんてジーニーよりすごい!

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でもそれはね、「本当の私」じゃないんです。でも…今さらそんなこれまでの空っぽを認めるなんてことしたら…「私」が散り散りに崩壊しちゃいます!と言って、ラミィさんはいつも通りのラミィさんの屈託のない笑顔に戻っていました。私はもう一度だけ、大きな声で子供みたいに泣いたラミィさんの「本当の私」に会ってみたかった。でも空っぽの「本当の私」をカウンセラーに見せたラミィさんからは何だか宿を探している裸んぼのヤドカリのお尻を見てしまったようで、安易に宿という慰めを提供してもラミィさんは喜ぶ筈がないし、私のどうしようと構えている姿勢、警戒がラミィさんに伝わってしまうのでは…カウンセラーとしては見てはいけない姿を見させていただいたような恥ずかしいような、申し訳ないような気持ちにもなりました。その後、しばらくしてラミィさんはお家を買い、大きな犬も飼ったと報告に来てくれました。ラミィさんの目の奥は強さと哀しみを湛えていました。「幸せの構図に『本当の私』は必要なくて、必要なのはみんなが楽しく喜んでくれるための「私」なんです。今はこの大きな犬に癒されて頑張って仕事します。お金さえあればなんだって出来るってことをこの仕事から得ました。聴いてくれてありがとうございます」。とラミィさんは教えてくれました。私は 「いつかまたラミィさんにも、ラミィさんの『本当のラミィさん』にもお逢い出来たら嬉しいです。いつでもお待ちしています」と伝えたら、ラミィさんははにかんで「そぅですね。またよろしくお願いします」と笑顔で相談室を後にされました。それから、今までラミィさんには会っていません。あの時、私はラミィさんのペルソナを脱いだ「本当のラミィさん」にお逢いさせていただきました。カウンセラーはクライエントさんからのご連絡をお待ちすることしか出来ません。今頃ラミィさんはキラキラ少年のような笑顔と目の奥には静かな強さを忍ばせながらみんなの人気者になっていることでしょう。

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ラミィさんの中の「私」と「本当の私」について、今日は架空のクライエントさんラミィさんにお越しいただきました。ありがとうございます。

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さぁ、クライエントさんが来てくれる時を楽しみに空気を入れ替えて花を活け、部屋を温めておきましょう。

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お読みいただきありがとうございます。

There is always light behind the clouds.

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By Louisa May Alcott

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