師走のコウちゃん “paper client”

こんにちは。今日は師走のコウちゃんについてお話させて下さい。

コウちゃんは、この時期に一度だけやって来るクライエントさんです。時間枠を3回分でとご依頼いただくので、ここ数年12月の3時間をコウちゃんとカウンセリング?させていただいております。

コウちゃんは40歳代男性、chubbyで笑顔が素敵な方です。

お悩みは師走にテンションが上がり、買い物とおしゃべりが止まらず、昼夜問わず活動してしまうことです。

私のところに3時間もご予約をお取りいただくこともひょっとして…。

今年は奥様へのプレゼントでエルメスの高級カバンを購入し、アストンマーチンまで予約をしたそうでカタログをお持ちになりローン契約書までみせていただきました。奥様もお疲れになり、「こんなカバン要らないから!」とご夫婦でデパートに謝罪&返品に行かれたそうです。

それだけではありません。コウちゃん、今年は100万円の帯付きの札束(ホンモノ)を透明の極細糸で小指に結び、混雑する電車でわざと大きな咳をしてみんなが振り返ったところで電車の窓を少し開け、1万円の束をみんながみたのを確認後、窓から落とし手元に手繰り寄せてみんなを驚かせて素知らぬ顔で降車するのが楽しみだそうです。私は、迷惑条例とかに抵触しないかとこころでは密かに思っていますがとてもコウちゃんには言えません。札束を見せていただきながら…(糸の長さは70センチ位かな)などと冷静に確認しておりました。

コウちゃんは奥様にもカウンセリングを受けていることをお伝え済みで奥様とカウンセリングのことも共有させていただいております。コウちゃんがこのような状態になるのは師走だけだそうなので多目にみていますという奥様は懐が大きいと思います。

ちなみにコウちゃんは奥様によると、中小企業にお勤めの会社員で、普段は背広を着られているそうです。私のところに来て下さる時の格好は…手作りの鈴が頭頂部に沢山ついたニット帽子にワッペンだらけのトレーナー、社会の窓が半分空いているデニム、エナメルの尖った靴に登山用リュックという奇抜な出で立ちです。チャイムを押す時から歌を歌いながら入室されます。

コウちゃんは去年はバーで一晩で200万円を使ってしまったこともあり、抑えきれないパワーをカウンセリングで大掃除しに来て下さるとのことです。カウンセリング中はとにかく間髪入れずにずっとお話をされます。「来年は2億は稼げる企画がある」「仕事のオファーが止まらない」「出版の依頼がありすぎて困っている」「忘年会の掛け持ちで」…。

コウちゃんが大きな声で歌っているので事務所マンション内の住民は大変驚かれていらっしゃいました。医療機関に受診勧奨をしたこともありますが、「病院なんか行くか」とのことで奥様にも同意を取りカウンセリングのみで対応させていただいております。

コウちゃんに来所いただくと私も師走感が一気に増します。そんなコウちゃんに度を越さないように奥様と連携を取りながら師走を迎えられたことに感謝しております。以前大学の授業で「躁状態にある方はターバンを巻いたり帽子とか被って頭を高くする方が多いです」と習ったことを思い出しました。

アストンマーチンの契約はどうなったのかなぁ…?

大掃除カウンセリングが終わると「ペルソナ・ノン・グラータ‼︎意味が分かるか?」とおっしゃりながら、B’zの“ultra soul”を大声で口ずさみながら帰り支度をされます。それから登山リュックの中からスピーカーを大音量で鳴らし始めました。

職務質問に合わないかな?私「あの…申し上げにくいのですが社会の窓とスピーカーは…」コウちゃん「社会は大事だぞ‼︎半分位どうってことねぇ!歌のひとつも鳴らしゃちゃいけないのか」とのことでしたが「そこをなんとかお願いします」コウちゃんは“persona non grata”と言いながら社会の窓を上げながらスピーカーも止めて下さりました。「Very merry X’mas〜&Happy New Year〜🎵」と曲を変えて歌って“persona non grata”と玄関前で雄叫びを上げながら事務所を後にされました。

B’zの「ultra soul」と “Very merry X’mas”…私の中でもリフレインされてしまいました。一度だけでも師走以外のコウちゃんにお会いしてみたいのは私のこころの欲望です。

コウちゃんは私にとって…。

招かれざる客ではありません。

“Welcome”&“Unique One”

コウちゃんにとって2018年が良いお年になりますように。

お読みいただきありがとうございます。