ミィちゃんのこと

気付いたら6月、水無月も半ばでございます。あっという間の5月でした。 今日はミィちゃんのお話をさせてください。ミィちゃんはどこにでもいそうな野良のマンション猫でした。おっとりした男の子でした。私はミィちゃんの生き方に憧れ … “ミィちゃんのこと” の続きを読む

気付いたら6月、水無月も半ばでございます。あっという間の5月でした。

img_3715

今日はミィちゃんのお話をさせてください。ミィちゃんはどこにでもいそうな野良のマンション猫でした。おっとりした男の子でした。私はミィちゃんの生き方に憧れていました。それはどれだけ意地悪をされても懲りない、メゲないで人を信じ抜くところです。そんなミィちゃんと会うことは楽しみのひとつでした。

img_1032

ミィちゃんは誰にでも懐いていきます。「ニャー」といってすり寄って来ます。時には抱っこを迫ってよじ上ってきました。私はミィちゃんに食べ物を上げたことはありません。ミィちゃんは地域のみんなから愛されているので色々な方にゴハンももらっていたのでしょう。毛艶も良く事務所の下でのんびり毛繕いなんかして本当にほのぼのしていました。

img_3725

ある日、ミィちゃんの毛が濡れそぼっていたことがありました。そんなこと御構い無しミィちゃんは「ニャー‼︎」と寄って来てくれました。濡れている毛のところを見たら誰かがイタズラしたのでしょう。沢山のガムが付いていました。自分で毛繕いをしたと思うと悲しくて涙が出ましたが、ハサミとブラシでガムを取り除きました。(あぁ、これでミィちゃんが人間嫌いになりませんように)と祈るばかりでした。

img_2262

心配ご無用です。ミィちゃんはどこ吹く風で「ニャー」とまた来てくれました。良かった…。次に目撃したのは近所の子ども達がオモチャの鉄砲でミィちゃんを攻撃しているところでした。さすがに頭に来て「止めて!」と言いました。ミィちゃんはそっと何処かに居なくなり子どもに訊いてみました。「ミィちゃんは悪いことしてないと思うんだけど可哀想じゃない」子どもたちは笑っていなくなりました。ミィちゃんが人嫌いになって、私のところにも寄って来てくれなかったらどうしようと「私のこころが」淋しかったんだと思います。

下の子どもは金魚すくいのポイに穴を開けようとする見知らぬいたずらっ子です。おそらく悪意はないのでしょう。

img_4142

下は近所にあったネコ専用ドアです。

img_2483

でも、その後もミィちゃんはずっと健気でした。他の猫たちとは上手に距離を置き、多くの人に可愛がられ時々私にも挨拶に来てくれました。

適応の上手さ。言い換えれば過剰適応。さらにいうなら解離性症の可能性や愛着障害の可能性もあったミィちゃん。ミィちゃんのこころの中はわかりません。でもミィちゃんは振る舞いが強かった。そんな健気なミィちゃんが大好きです。

私が東京にいなかった時に管理人さんから電話をいただきました。

「ミィちゃんが亡くなったの。突然だったから、獣医さんに連れて行っても間に合わなかったんです。でも、マンションのみんなでお見送りしたからね」との言葉をいただきました。「オミオクリ、おみおくり、omiokuri…」頭の中はグルグルです。img_2112

最後に見かけた時は元気で時にはマンションの中まで入り込んでみんなに愛嬌と癒しをくれたミィちゃん。ミィちゃんの代わりはいません。ミィちゃんはミィちゃんだけなのです。悩みを抱えた人に対して応えを出そうとする人もいます。「明日は来るよ。良い思い出としてさぁ」と。いや、私にはできない。何度でもミィちゃんを思い出せるようになります。

img_4148

「突然の死因が誰かに意地悪されてなかったらだったらいいなぁ」と友人に話したら、「それでもミィちゃんは誰も恨まないよ。向こうの世界に行ってもみんなから可愛がられているさ」と友人は言いました。

人のこころと向き合うとミィちゃんを可愛がってくれる方ではなく、ネコや弱い人を虐めることいるという方にもお会いします。それでも私は自分の価値観は傍に置いてその方と向き合わなければなりません。思えば、私も急いでいる時はミィちゃんに構っていられないこともありました。

img_3730

たくさんの思い出と何があっても生涯人を信じ続けたミィちゃんのことはずっと忘れません。今後もこの仕事をしていく以上、多くの裏切りや悲しみにも遭遇すると思いますが、ミィちゃんをお手本に「こころが大好き」と胸を張って言えるカウンセラーになりたいとこころに誓いました。

img_3716

そんな中、病院に生後間もない子ネコの兄弟が捨てられていました。スタッフの方が育ててくれることになりました。兄弟で幸せになってくれることを祈るばかりです。

img_4162

ミィちゃん、ありがとう。お読みいただきありがとうございます。