コトバの裏側

こんにちは、一気に春は駆け抜けてしまいました。

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春のカウンセラーは多忙です。

今日はコトバについて考えてみたいと思います。

私たちは言語の世界に住んでいます。

心理士にとっては特に言葉の紡ぎ方は大切です。

コトバは使い方によっては武器になりえるから。

その一方でコトバは私たちの慰めのアイテムにもなります。

言葉ってとても大切なツールのひとつなのです。

しかし、言葉だけを信じることはとてもhigh-riskなこと。

言葉より深いところに自律神経があります。

自律神経よりも深いところに反射があります。

行動や態度など非言語情報の観察も非常に重要です。

私はヒトの言葉のみを信じないように気をつけています。

辛さやお悩みを「話して問題をクライエントさまと一緒に考えていくこと」がカウンリングなのかも知れません。

しかし、その方の語りだけでなくその方の語りの奥の表情に何が見えるか…。顔に発赤はみられないか、話し方の速度は興奮していないか、言葉と表情の間のスキマにこそ大切な情報が隠されていることってとても多いと思います。

あるご年配のクライエントさまから教わったことがあります。「土筆って食べられるのよ。調理の手間は大変だけど、丁寧にはかまを取ってね、茹でて食べるととっても美味しいの」私は土筆を食べたことがありませんでした。次にお会いした時に土筆の煮物をいただきました。「食べてみて」と。私はいただきました。なんとも言えない滋味深い味でした。

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もし、土筆が美味しいと聴いただけだったら、ふーんと終わっていたかも知れません。それから土筆を見るたびに春だなぁとしか思えなかったことに土筆の美味しさも入ってきます。共に私に教えて下さったクライエントさんのお顔も浮かびます。

土筆から春を感じる視覚な情報と美味しさという味覚的な情報を教わりました。

お花見に行く時間はなかったのだけど、友人からのお弁当で春を感じるこころも。

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土筆をみて色々思うことが出来る小さな気付きをこれからも大切にしていきたいと考えています。小さな花の可憐さを見つけるこころも忘れないように。

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クライエントさまからいただいたコトバや思い出こそが私の原動力そのものであると改めて考えさせていただきました。

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お読みいただきありがとうございます。

paper client 撫子さん


撫子さんは30歳代の女性です。ある日のセッションの終わりかけに「山手線に飛び込むか風俗に行くかしか選択肢はなかったんです」美しい撫子さんからのひとことに私は仰天しました。私は「そうですか。それでも今を生き延びる場所として風俗のお仕事を選ばれた」と応じました。「今を生き延びる能力」の大切に関しては、医学書院のケアをひらくシリーズ上岡晴恵+大嶋栄子さんの「その後の不自由」という本で読んで感動したことを覚えております。

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私の受けた撫子さんの第一印象は「今刹那を一生懸命を生きている」というものでした。豊かな黒髪の瞳のまっすぐな女性です。撫子さんの一生懸命の瞳の先は、常に皆が不快にならないかを直感的に見つめ振る舞います。カウンセラーの私にもいつもお気遣い下さります。そんな撫子さんのお話を今日はお話させて下さい。

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撫子さんには特技があります。それは「人のこころ」「場の空気」を一瞬にして察知する能力です。その空気を「ご自身のためではなくその場にいるみんなが心地よく過ごせるように察知している」ところがポイントです。私がセラピストとして知りたかったことはそのような振る舞いを提供している撫子さんご自身の感情は何処に向かいどのように対処しているのだろうということです。撫子さんから本当に多くのことを教えていただいております。

私たちはすぐに規範や価値判断に基づいて発言することが多いと思います。

血液型は?出身地は?宗教は?出身大学は?仕事は?アニメ好き?精神科を受診しているの?セクシャリティは?

その答えの裏側には重要な情報収集があるかもしれません。お茶の間の話題の提供に貢献してくれることもあります。しかし、その情報からわたしたちは「風俗?」「T大なの?」「メンタルの薬を飲んでるの?」「あの人って◯型何だって」「あの人ってボーダーじゃない」「アダルトチルドレンじゃない」「◯教なんだって」その先にはその人なりの「価値判断」があるのではないでしょうか。「風俗で務めるって病んでない?」….。「T 大なんてすごーい!」「精神科を受診しているんだって」「アニオタなんだって」「ボーダーラインなんだって」などなど。

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(私はメンタルとは無縁だけどね)(かわいそう)(T大だって)(◯教かぁ)(私はわかんない)(無理じゃない)…。

私の答えは次の通りです。「それで?それが?」

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It is none of my business.それは私の仕事ではありません。

ご相談者さまにひとりとして同じ方は存在しません。カウンセラーも「ひとり」。クライエントさんも「ただひとり」そしてそこから生まれる二者関係もただひとつunique oneの関係なのです。血液型や疾患名や世間の価値観やアカデミズムで括ったならその方らしさは一瞬で掻き消されてしまいます。

撫子さんの今を生きるために風俗のお仕事を選ばれた選択を「私は」素晴らしいと感じています。そして、刹那を生き延びた撫子さんがご自身でご自身の道をご自身の信念に基づいて選択されていかれることを応援しております。

価値判断をしないことは自分の考えを持たないことではありません。

しかし、価値判断をする前に、まっさらに目の前の方や事象と向き合うことによってこそ、私たちの視野が広がるのではないでしょうか。

撫子さんは何時も一生懸命に目の前のことに生きていらっしゃいます。澄んだ瞳は穢れを知りません。たった今を一生懸命に生きていらっしゃる撫子さんはとても素敵です。

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「価値判断を傍に置くこと」は専門職同士でもなかなか理解していただけないことが多いし、ご相談者さまからもご質問されることが多いです。「小澤さんはどう思う」と。私はカウンセリングの中で自分のなるべく答えは出さないように気をつけることにしています。

その理由はご相談者さまの自己決定権選択を大切にしたいからです。

一生懸命にたった今を生きていらっしゃる撫子さんのご活躍を陰ながら応援させていただいております。

次回のお約束をした後、凛とした表情で新宿の夜にお出かけになりました。

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撫子さんの大きなカバンの中には豊かな感受性とそれに伴った空虚感をもご自身のものにする底力と今日を生き抜く力と明日の夢と希望がたくさん詰まっていることでしょう。

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