Miracle or Tragectory

こんにちは、すっかり秋めいて参りました。収穫の秋、芸術の秋、食欲の秋ですね。日の入りも早まって参りました。今年は豪雨や地震なども多く、被災されたみなさまには心よりお見舞い申し上げます。

今日は「きせき」について考えてみたいと思います。

みなさんは「きせき」と音のいう響きから…直感で「奇跡」を思い浮かべるでしょうか?或いは「軌跡」でしょうか。私は断然後者を意識します。今こうしてブログを書いているこの瞬間から「過去」になります。「今仕事中なの」と言ったその瞬間から既にさっきという過去となっているのです。

時に私たちは、深刻なライフイベントに遭遇することがあります。(稀にこころの苦痛を感じない、そのようなことに遭遇してない幸せな方もいらっしゃるかもしれません…)

時に私たちは、考え抜いても思い通りに出来ない出来事、苦しい選択を迫られたり、突然大切な方やペットとのお別れを経験するかもしれません。仕事で挫折を味わったり、転職や引っ越しを余儀なくされることもあるかもしれません。

予期せぬ結果に悩むことがあるかもしれません。信じている大切な方に裏切られることがあるかもしれません。知らない間に誰かをチクチク言葉で傷付けてしまったり、誰にも言えずにチクチク言葉や自分の主張を出来ずに落ち込んだり、それが一気に爆発してしまうこともあるかもしれません。そんな自分に落ち込んでしまったりすることもあるかもしれません。

辛い出来事に遭遇すると、回避出来ずにぐるぐるループに陥ることがあります。辛い出来事を解決しようとしすぎてクタクタになることもあるかもしれません。

そんな時、ご自身を責めてしまう傾向にある方、他者や環境のせいや運命の仕業と考えられる方、まるで辛かったことなんてなかったかのように回避する方…人やその事象の深刻さによって、これらの半ば無意識的な対処を無意識のうちに使い分けて人は何とか適応しています。

ミラクルは起こるかもしれません。ハイアーパワーだってあるかもしれません。人生ってわからないものです。

私は、人生で他者に助言はもらったとしても、助言はあくまでも助言、自己決定権はクライエントさんの中にあると考えています。それが「ただひとつの」軌跡になると考えるからです。過去を変えることは出来なくてもその意味を少し異なる視点から俯瞰することによってその過去の奥深さや自由になれていない自己に気付くことができます。

ですから、私はクライエントさんに助言はすることがあったとしても、最後のこたえはクライエントさんの中にあると信じてカウンセリングを行っています。私から言われた言葉や指示によって、クライエントさんのこれからの軌跡の邪魔や脱線をしてはいけないと考えています。同様に「大丈夫ですよ」など安易な言葉も用いないように気をつけています。

軌跡は「ただひとつの」宝ものでもあるし、時には(あの時こうしていたら)と心に大きな重荷としてのし掛かることもあるかもしれません。私は、クライエントさんを指示ではなく、支持することを大切にしています。ライナスの毛布のようなカウンセラーになりたい。

もし、カウンセラーから指導や指示を望まれるクライエントさんなら、私とのカウンセリングに不満や物足りなさを感じるかもしれません。

カウンセラーからの自己開示はいけないことというのが私達専門家の教科書のルールです。しかし、カウンセラーからも必要に応じて「過不足なく」自己開示することも時には必要なことだと私は考えています。時々自己開示の度を超えてしまうことは私にとって反省点と課題です。

私は、カウンセラー側の防衛が強ければ、クライエントさんと真の交流は出来ないと考えるのです。どのようなクライエントさんであっても、他人事のようにくっきりと線引きして接することは今の私にはできません。ただひとつのセッションに私なりの全力を尽くすことしか出来ないかも知れません。

誰かに、何かを指摘してもらうことや安易な慰めをしてもらうことで楽になることもあるしれません。しかし、私はクライエントさんの自己決定を一番に信じ、自己決定が出来ずに悩まれている際には一時的に「心の松葉杖」のような役割を果たせるのならそれを惜しむこともいたしません。

“We trust our judgement.”となることが出来れば、結果がどうであれ誰かのせいにすることは少なくなるでしょう。私たちはプロセスを振り返ったときに(あの時、ああしていれば…)と思うことはあるかも知れません。しかし、刹那のプロセスを紡いで今に至ったことにはとても重要な意味があるのだと秋の夜長に考えています。

今日は月が綺麗でした。お彼岸も迎え、夜に外に出るとすっかり秋の虫の声が聴こえる時期になりました。扉を開けて、ただひとりのクライエントさんとお会いし、その方のこころの物語やお悩みや嬉しいご報告をお聴きできることは私にとって心から幸せなことなのです。

季節の変わり目で、今年はインフルエンザの流行も早まっているそうです。みなさま、どうぞご自愛ください。

お読みいただきありがとうございます。