私は時々不思議な感覚に陥ります。
私はいつもの部屋に座っています。ぽつんとひとり。みなさまをお待ちしながら。
ここには去年彼が座っていました。昨日は彼女が座っていました。おととしは彼らとここに一緒にいました。
おとといは彼とここで一緒に涙を流しました。
私はただ、ここに座ってたった今彼女と一緒にこころの世界の旅に出ます。
ひとりぽつんとここにいるだけ。
旅のない日は旅の思い出を考えて涙したり、笑ったり、怒ったり。
まるで誰かがお見舞いに来てくれているかのような気持ちになることがあります。
私は専門家でしょう?こころの療法をするのでしょう?
でも、その前にまずは一緒にこころの旅をしたい。
「私ね」「僕ね」「俺ってさ」「実はね」「誰にもいわないでね」…。
私はただここにいるだけ?いいえ。誰にも内緒のこころの旅をさせていただきました。
何処かに行きたい?
いいえ。わたしは、目をつむれば去年の彼と、5年前の彼女と、昨日の彼と一緒に何処にでも行けます。明日の旅を楽しみにすることもできます。
明日にはもしかしたらまた新しい出会いがあるかもしれません。
来年には一昨年の彼女とまた会えるかもしれません。
私はただここにいるだけ。なにも持たずにここでみんなを待っているだけ。
こころを治すってどんなこと?専門家の言うことをきくこと?
いいえ。どんなことでもお話したり、誰かとひととき一緒にいられること。
私はどんなことでも人を決めつけない透明なこころで受け入れられること。
私がいちばん苦しいのは、お金をいただくこと。
お金がなければここの部屋がなくなってしまうから。
時間になったらさようならをしなければならない。
また次の彼女とこころの旅に出るから。
どんなに待っても会えない人もいます。私を大嫌いな人もたくさんいます。
ぽつんとひとり会いたい人を考えることってどんなに楽しいことでしょう。
ぽつんとひとり会えない人を思うことってどんなに切ないことでしょう。
私はどんな道具も持たずにここにいることのできることに幸せを感じます。
私はひとのこころが大好きです。
会えなくなった彼が幸せでありますように!
結婚した彼女が末永く幸せでいられるように!
ひとりでも多くの方が笑顔で過ごせますように!